$200バーガー
米国には"$200バーガー"と言う表現がある。勿論、空好きの仲間だけで通じる特殊な表現だが、その生態を良く言い表していると思う。$200バーガーという表現の意味するところは、飛行機に乗って最寄の空港まで気楽な小一時間の野外飛行を楽しみ、そこでハンバーガーを食べてから帰ってくるという他愛ないものである。機種によっては$200では済まない場合もあるだろうが、そもそも経済性などという概念からは大きく逸脱した週末の行動であるから、笑って許して欲しい。
ジェフコ空港から北に約70Kmにあるグリーリーウェルド郡空港内のレストランに、週末頻繁に、黄色いスーパーカブ機(パイパー社の尾輪式高翼機)でパンケーキを食べに来るご老人をよく見かける。オーダーするのは何時もプレーンなパンケーキのみであり、決して長居をしない粋な老パイロットだ。
彼の青春時代であろう、1960年代の若者の生態を描いた「アメリカン・グラフィティ」という、今からすればクラシックな名作映画(ジョージ・ルーカス監督の出世作)がある。目的も無く(ナンパするという意味合いがあっただろうが)車をユックリと乗り回し(クルーズ)、ソーシャライズする、それだけのことではある。(現在でもDVD等で観ることが出来るので、興味を持った方はご覧になって下さい。)
その彼等も引退退職する年代に達し、長年の蓄積から築き上げた財力は、彼等の道具とスタイルを車から飛行機に変えたのだろう。だが、習性の残痕は自然と滲み出すものだと思っている。黄色いスーパーカブに乗っているご老人も、若かりし頃はかの映画に出てくる若者のようにホットロッド風の車でクルーズしていたかもしれない。"$200バーガー"という言葉も、そんな彼らから生まれた表現なのだろうか。
一つ確かなことは、あのご老人のように歳を重ねても粋でありたいものだと言うことだ。
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