2006年08月05日

大平原の小さな飛行機

コロラド州の州都デンバーの西側にはロッキー山脈が南北に連なっているのだが、そこから東側にはグレートプレーンズと呼ばれる、アメリカ中西部の大平原が広がっている。

そんな大平原にその昔、オレゴントレイルと呼ばれた大開拓時代の道があった。当時の政府派遣の探検隊が、入植に適さないと報告したミシシッピー川以西をさらに西進し、ロッキー山脈を横断して今のオレゴン州の太平洋にまで達する、西部開拓時代を象徴するような道だ。その全行程を完遂するのにほぼ一夏以上を要し、開拓者たちの幌馬車が当時の大草原を数珠繋ぎに大移動したとされる。

そんな場面もズームアップしてみれば、かなり厳しい現実があったようだ。先ず第一に、開拓民達は殆どの行程を徒歩で移動したようだ。幌馬車には食料や資材などの荷物が満載され、彼等が搭乗する余地は無かったとのこと。病疫(コレラ)や渡河時の事故などで、一時はその1割が目的を達成できなかったという記録も残っている。陳腐なハリウッド映画では、インディアン達が開拓民達を襲う場面が多数あるが、実際には、両者間での交易は平和に行われたようである。1870年頃に大陸間横断鉄道が完成するまでの数十年間、数十万人が命懸けの旅に挑んだ、そんな道がオレゴントレイルだ。

合衆国民のフロンティアスピリットはさらに西へ西へと西進し、ペリー提督率いる黒船が太平洋をも越えて、日本へ開国を迫ったのはご存知の通りだが、ヨーロッパから見れば極東にある国から、東洋人達がやってきて、そのオレゴントレイルの上空を"鳥のような機械"で凄まじい速度で移動するとは、その当時にオレゴントレイルを西進した人に想像できたであろうか?

Tetsu自身は野外飛行訓練の目的地にグレートプレーンズに点在する各空港を選ぶことを好むのだが、その光景はまさに"Cross-country"であろう。風景が単純すぎるとかの理由から、その好き嫌いは大きく2派に分かれると思うのだが、訓練はあくまで実力養成の目的であるから、風景が単純であろうが、クロスカントリーフライトに必要な航法能力を、より要求される難しさは歓迎されるべきであると考えている。山並みを横に見ながら並行して飛んだり、飛び上がってから見えた島に向って飛ぶのは安心感があるだろうが、ナビゲーション訓練という観点から考えて最適だろうか? ロッキー山脈すら見えず、どちらを向いても茶色と緑が広がる大平原での、時として孤独にも感じられる単独飛行が、強いパイロットを育ててくれると思うのである。

正に、大草原の小さな家々の上を飛んでいるわけだ。

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A little plane over the Great Plains

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