機齢(機体年齢)の話
23歳の訓練生が29年前に製造された機体で訓練を受けている図を想像してください。機齢29歳の機体と聞いた瞬間から、23歳の訓練生の顔に多少の陰りが感じられることもあります。本当に大丈夫だろうか?と。
機体構造の強度にどれ程の信頼がおけるかは、その機体が如何に整備されてきたかによるでしょう。シッカリと整備された機体なら、製造後50年以上経った機体でも、個人的には、全く不安無く飛ぶと考えています。ここジェフコでも機齢20歳を越えた機体などは、数えるのも嫌なくらい存在しています。飛行機の耐用年数は、自動車よりもずっと長いのです。
過去に飛んだ小型機で最も古いものは、1939年製 Harlow PJC-2かな?翼型がゼロ戦と同じ形状で(こちらでは日本がHarlowの翼型を購入したと聞きました)、世界に耐空状態で所有されているのが僅か3機という、稀な機体だそうです。機齢はいったい何歳になるのでしょうか?
Harlow PJC-2
大型機であれば、ダグラス社のDC-3が長生きしている機体として有名です。機齢40歳を超えてもなお、いまだ現役で運用されている機体が多数あるようです。
DC-3 - Wikipedia
軍用機であれば、ベトナム戦争時に大量の爆弾を降らせた、B-52が良い例でしょう。すでに製造後40年以上経っており、機齢50歳に迫る機体もあるようですが、幾度もの改修を行い、いまだ現役で実戦配備されているそうです。
B-52 (爆撃機) - Wikipedia
日本でも、関宿滑空場で飛んでいたPiper社のSuper Cub JA3272が、製造後50年以上にわたって飛んでいたと聞いています。機齢50歳を超えてもなお、適切な整備がなされていれば、飛行機はいつまでも飛び続けられるものです。もっとも、JA3272の場合は、50年以上にわたってのたび重なる整備や修理によって、製造時のオリジナルな部分は、ほとんど残っていなかったようですね。
パイパーL-21B JA3272の思い出
しかし、耐用年数が長いとはいえ、ある程度(機齢15歳くらい)古くなってくると、見た目にもくたびれが出るものです。そこで、古い機体を塗装し直して、機体の市場価値を上げる手法は、現在でも比較的良く行われているのが現実です。けれども、その再塗装作業もアメリカ国内で行うと結構高くつきます。再塗装に要した費用がそのまま機体価格の上昇分につながるわけではないのが、中古機市場の妙でもあります。
そのような事情もあり最近の傾向としては、米国環境局 (EPA)の監視の届かないメキシコに飛んで、安上がりの塗装を終わり帰国する手段も発案されました。ある時、当校の一機も綺麗に再化粧されて帰国したのですが、よく見てびっくり仰天……。古い塗装をグラインダーか何かで削り落としたついでに板と板を留めているリベットの頭も削って薄くしてしまい、強度不足が懸念されたのです。そんな種類の仕事を "Butcher's Job" と呼び、結局、逆に相当に高くついてしまった企てでした。"Good Try" ではあったのですが。