2007年02月22日

世界の国別、空港数ランキング

CIAがThe World Factbookというデータを毎年公開していますが、以下はそこから見つけた空港の数の国別ランキング(2006年統計)です。


CIA - The World Factbook -- Rank Order - Airports

20位までと日本の順位は以下のようになります。

1. United States 14,858
2. Brazil 4,276
3. Mexico 1,839
4. Russia 1,623
5. Argentina 1,381
6. Canada 1,337
7. Bolivia 1,084
8. Colombia 984
9. Paraguay 881
10 South Africa 731
11 Indonesia 662
12 Papua New Guinea 582
13 Germany 554
14 France 501
15 Ukraine 499
16 China 486
17 France 477
18 United Kingdom 471
19 Australia 455
20 Guatemala 450

38 Japan 175

単純に空港の数と言っても、国際線が就航するような長い滑走路から、ただの広場にしか見えない滑走路まで、いろいろな設備の空港があり、総数の中に占める舗装滑走路と未舗装滑走路の割合や、滑走路の長さなどを考慮しないと、それぞれのお国柄は分り難いでしょう。

舗装滑走路の数は以下から
CIA - The World Factbook -- Field Listing - Airports - with paved runways
未舗装滑走路の数は以下から
CIA - The World Factbook -- Field Listing - Airports - with unpaved runways

上記ランキングだと、未舗装滑走路の多い南米の諸国が、総数ではかなり上位にランクされていることは面白いと思います。

日本の場合
舗装滑走路は
3,047 m以上: 7
2,438 ~ 3,047 m: 41
1,524 ~ 2,437 m: 39
914 ~ 1,523 m: 28
914 m以下: 30
で合計145箇所

未舗装滑走路は
914 to 1,523 m: 4
under 914 m: 26
で合計30箇所。

あわせて175か所ほどあるようです。

2007年02月09日

連邦航空局民間委任試験官

先々月のことではあるが、10年来の友人であるジョン・スコット氏が、連邦航空局(FAA)の試験官(イグザミナー)に任命された。彼は航空局に勤める国家公務員ではない。日本には馴染みが薄く、理解し難いかもしれないが、航空局から委任された民間人の試験官(DPE; Designated Pilot Examiner)である。

民間委任の試験官の資格には10種を越える種類があり、それらから複数種の資格を兼ねることが普通だ。イグザミナーになりたいと希望する申請者は、当然のように相当なキャリアを重ねてるのであるが、要求される資格や技量に関しては、特に明確な数量的基準があるわけではない。ただ、申請者が地域の航空界に貢献した実績が、審査対象項目になることは間違いないようだ。現在、人口250万人を越えるデンバー都市圏には、12名ほどの民間委任試験官がいる。人口比からすると、かなり試験官の数が多いと思われるかもしれないが、逆にそれだけ、パイロット人口の多いことと、免許や技能証明が多種にわたっていることが、分っていただけるかと思う。

我々がイグザミナーに試験を受ける際の関心ごとである受験料についてだが、額に関する規定は無く、もっぱら習慣的に決められ、航空局はその額について一切関知しない。現在、大都市圏では約$300から$400が相場と言ったところだ。試験官を半日以上拘束することを考えると妥当な額と言えるだろう。

毎年一回、試験合格基準など様々な項目の情報共有と標準化のために、イグザミナー達に知識を徹底させる講習会が、FAAによって行われている。丸一日、朝から晩までしっかりと行われており、その講習会で得た情報はもちろん、様々な機会で得た情報が、可能な範囲でスクールやCFIなどにも伝わってくる。彼からもさっそく、免許取得にかかわる手続きが、完全に電子化されたとの情報を入手した。

なにはともあれ、良き友人に恵まれていることに、感謝したい。

2007年01月27日

$200バーガー

米国には"$200バーガー"と言う表現がある。勿論、空好きの仲間だけで通じる特殊な表現だが、その生態を良く言い表していると思う。$200バーガーという表現の意味するところは、飛行機に乗って最寄の空港まで気楽な小一時間の野外飛行を楽しみ、そこでハンバーガーを食べてから帰ってくるという他愛ないものである。機種によっては$200では済まない場合もあるだろうが、そもそも経済性などという概念からは大きく逸脱した週末の行動であるから、笑って許して欲しい。

ジェフコ空港から北に約70Kmにあるグリーリーウェルド郡空港内のレストランに、週末頻繁に、黄色いスーパーカブ機(パイパー社の尾輪式高翼機)でパンケーキを食べに来るご老人をよく見かける。オーダーするのは何時もプレーンなパンケーキのみであり、決して長居をしない粋な老パイロットだ。

彼の青春時代であろう、1960年代の若者の生態を描いた「アメリカン・グラフィティ」という、今からすればクラシックな名作映画(ジョージ・ルーカス監督の出世作)がある。目的も無く(ナンパするという意味合いがあっただろうが)車をユックリと乗り回し(クルーズ)、ソーシャライズする、それだけのことではある。(現在でもDVD等で観ることが出来るので、興味を持った方はご覧になって下さい。)

その彼等も引退退職する年代に達し、長年の蓄積から築き上げた財力は、彼等の道具とスタイルを車から飛行機に変えたのだろう。だが、習性の残痕は自然と滲み出すものだと思っている。黄色いスーパーカブに乗っているご老人も、若かりし頃はかの映画に出てくる若者のようにホットロッド風の車でクルーズしていたかもしれない。"$200バーガー"という言葉も、そんな彼らから生まれた表現なのだろうか。

一つ確かなことは、あのご老人のように歳を重ねても粋でありたいものだと言うことだ。

2006年10月24日

寒冷時における航空用レシプロエンジンの取り扱いに際しての注意点

去る10月17日はデンバーにおける今年の初雪日でした。これからは低温環境における訓練が可能な日が多くなります。「冬は冬らしく」が訓練に必要、と主張している立場からも、より気合いの入る季節になりました。 冬に冬の訓練をしなくて、いつ冬期訓練をするのでしょうか?

低温時の訓練に関しては、幾つかの注意点を挙げることが出来ますが、今回は特に、コンチネンタルやライカミングなどの、航空機用レシプロエンジンの低温時の取り扱いに関して、2点ほど取り上げてみたいと思います。

まず、寒冷時のエンジン始動に際しては充分な暖機が必要です。当地では、プロパンガスの燃焼による排熱を、電動ファンでエンジンのカウリング内に送り込むことで暖機を行っています。暖機のお陰で早朝や夜間の凍えるような気温に比較して、エンジン本体の温度が上昇し、キャブレター等でのガソリン気化も良好になり、始動性が劇的に改善されます。

ポイントとしては、十分に暖機が済んだ証として、エンジンカウリング下部に突き出しているブローバイ管(エンジンのクランク室内の圧力を逃がす管)からの、水滴落下を視認することです。すなわち、ブローバイ管内で凍結した水分が解けたことを意味するのです。燃焼の副産物としての水蒸気分は相当の量であることと、ピストン周囲の圧縮リングの隙間をすり抜けた未燃焼ガスに含まれる水蒸気分が、大量にクランク室内に存在することは、エンジン停止直後にブローバイ管から落下する水滴量でも窺うことが出来ます。そのブローバイ管を凍結させたまま、かろうじてエンジン始動は成功したものの、急激に上昇したクランクケース内圧力によって、エンジンの損傷に至った実例も報告されています。

ついでですが、実は、あの機体腹部のオイル汚れも、あのブローバイ管が犯人なのでした。しかし、それは管が通気している証拠であり、通気と同時にクランク室内の圧力を正常に保っている印でもある訳です。しかし、余りにも多量なオイル噴出しはエンジンの圧縮性能の低下(シリンダーの圧力リングの性能劣化)を疑うべきでしょう。自動車では義務付けられているブローバイガス還元装置が付いていないということで、環境にはやさしくないのは言うまでもありません。

次の心配はエンジンが急速に冷却された為に起きる"サーマルショック"に関してです。これは冬期に限ったことではないのですが、エンジン出力を急激に過大に減ずる必要に陥るような計画性の無い飛行を行った結果として起きうることです。具体的な症例としては、シリンダーヘッドに亀裂が入ってしまい、そのエンジンはもう使用できません。空港に帰還する際に、対地高度が高過ぎて短時間にあわてて降下しようとすることが頻繁に起きる落とし穴となります。フラップの強度に関して脆弱だと言われている高級な設計のフラップを装着しているセスナ機でも、実は、第一段階の低角度フラップ設定で"巡航降下"が可能であり、それを選択することは裏技の一つとして可能です。

しかし、いかなる場合にも、機体に不必要なストレスを掛けること無しに運航できる深い洞察力を持ったパイロットになることが我々のゴールです。

つまり、エンジン出力設定を極端に低下させること無く、エンジン本体温度を急激に低下させることなく、直陸地への降下横断面を無理なく実現することを、知識として習慣として身に付けることです。スポーツに例えるならば、ペース配分が自然と出来るようになること、とでも言うのでしょうか。持久系の運動をしている時の心臓や筋肉のように、航空機のエンジンを気遣うことが出来るようになれば、クレバーなパイロットへと一つ階段を上ったといえるでしょう。

確かに、昨今の電子制御化された自動車用エンジンと比べれば、ライカミングやコンチネンタル等の航空用エンジンは、手間もかかり、気も使うのは事実です。しかしながら、正しい運用知識と、それに裏付けされた感受性を身に付けるという意味においては、とても優れていると思いますし、養うことの可能な運用知識に裏付けされた感受性も、パイロットに必要な要素だと考えるのです。そして、ライカミングやコンチネンタル等の航空用レシプロエンジンは、その扱いが優しければ、素晴らしく信頼性の高い内燃機関であることは、言うまでもありません。

上記のような注意点のほかにも、冬期における特殊性はいろいろと存在します。外は少々寒いのですが、暖房の効く機内ですから、ひとたび飛んでしまえば、真夏よりも快適かもしれません。常夏や常春の地域とは違い、また夏のコロラドとも違うコロラドの冬空を味わいに、ブラッシュアップ訓練もかねて訪れるのも大歓迎です。限りなく蒼く澄んだ空と雪を頂いた白いロッキー山脈も、訪れる人や飛ぶ人を歓迎するのが、これからのコロラドです。

2006年09月19日

ジェット気流と風船爆弾

地球温暖化の影響もあり、北半球を流れる偏西風の蛇行によって、世界各地で異常気象が起こっていると聞く。今年の日本の梅雨は集中豪雨もあって、アメダスの降水量記録を更新した地点も多いようだが、こちらアメリカでは、記録的な猛暑となっていた。もっとも当地コロラドは、湿度が非常に低いので、日本の夏ほどの不快さは無いのが通例であるが、流石に体温よりはるかに高い外気温になってくると話は別で、少々夏バテしてしまったのである。

偏西風といえば、毎度のことながら、日本帰国便で北太平洋上を飛行中に最も意識させられる。いわゆるジェット気流の強弱により、大陸間を長時間かけて結ぶ飛行機は大きな影響を受けるからだ。予報より強烈な向かい風は、日本の到着時刻の遅れを意味し、空港から遠く離れた地に実家がある自分には、鉄道ダイヤの面などが心配だ。

逆に、日本からアメリカへ渡航する時は、その恩恵を充分に得られるはずだ。しかし2006年現在でも、日本からデンバーへの直行便は無い。必ずアメリカ国内で乗り換えることとなっているので、あまりそのメリットを感じないことの方が多かったのではあるが、5年前に発生した例の事件以降は、入国審査の手続きに少々時間がかかるようになっているので、そんなことも無いのかもしれない。

そんなジェット気流であるが、利用するのは航空機だけではない。半世紀以上昔には、その太平洋横断コースを、夥しい数の「風船爆弾」が、北米大陸に向け飛行したことがあった。ジェット気流が対流圏の上面に在る関係で、昼夜で上下に高度変化するジェット気流帯のまっただ中を、搭載された砂バラストで自動的に高度調整しながら、"静かに静かに"しかし高速で飛行したのだ。もちろん風任せの旅であるから、風船の到達率は低い。運良く生き延びてアメリカ本土に到達した風船といえども、運悪く昼間に到達した風船は、待ち構えた迎撃戦闘機が丹念に一つ一つ撃ち落していたと聞く。幸運にも闇夜に乗じて侵入した風船は、時限装置で自爆することで自由落下の爆弾と化し、ロッキー山脈山中などでミステリアスな山火事を頻繁に引き起こした。当時、その攻撃に関して巧妙に報道管制をしていた米国では、一般市民にはソレが何であるかも分らず、知らずに不発弾に近づき、米国48州の本土内で(オレゴン州)唯一の戦死傷者を出している。

ジェフコで飛行する我々の訓練空域の北端、ロッキー山脈東斜面のフォートコリンズ市郊外にも、その風船爆弾の一つが到達していた。その取材が載った地方新聞の記事を切り抜いて、暫く保存していたのだが、4~5年前に何かのきっかけで、作家の佐々木譲氏に進呈したことを思い出した。勿論、それをネタに彼に何か書いていただけるかも…という下心からだった訳だが、風船の旅と同様に未だ静かに飛行中なのかもしれない。